ベンチャーにおけるマーケティングの考察

ベンチャー企業へのマーケティングの適用について考えています

デジタルはマス的に動けるか

元テレビ人なので、テレビには愛着を持っている私

私はもともとマスメディア、または4マスと呼ばれるテレビ、新聞、雑誌、ラジオの分野でキャリアをスタートしたので、これらのメディアに愛着がある。

特にテレビを担当していたので、テレビに対しては思い入れがある。だから、「テレビはもう終わり」「TVCMなんてもう誰も見ない」というような言説に触れると悲しい気分になってしまう。

テレビ=マス、デジタル=個別最適しか道はないのか

テレビはマスメディアというだけあって、「皆が知っている」という状況を作り出すのを得意としている。一方で、デジタルは個々人に最適な情報を提供することができ、より効率的であると言われている。

私は「皆が同じ何かを知っている」という状況の是非についてはあまり興味がないので語らないが、デジタルが今のテレビが果たしているような「皆が知っている」という状況を作り出すことはできるのか、つまりマス的に動けるのか?と常々疑問に思ってきた。

デジタルで「皆が知っている」状況を作り出すことはできるか?

そこで、簡単な観察をしてみた。デジタルによる個別最適の象徴といえばニュースアプリだが、数あるニュースアプリでどの程度、共通の話題が取り上げられているのか、というものだ。

もし共通の話題が取り上げられているのならば、デジタルの時代に個々人が好きなアプリを使っていたとしても、「皆が知っている」という状況は作り出せる。

まあ、「ニュース」という限られた領域の話だし、ニュースアプリを使う人も限られているので、それを「皆が知っている(つまりマス)」と呼べるのか、という疑問は私自身も持っているのだが(むしろ逆のことを検証してしまうのではないか…)、ふと思い立って観察し続けたので、せっかくだし書いてみようと思う。

今回の観察の条件

ICT総研が2017年3月3日に発表した、2017年 モバイルニュースアプリ市場動向に関する調査結果を参考に、以下アプリを選定した。

 ・Yahoo!ニュース
 ・LINE NEWS
 ・スマートニュース
 ・グノシー
 ・Googleニュース

以上のアプリで、「総合」の画面に表示される画面を、8/21〜24まで朝7〜8時の間にメイン画面をスクリーンショットに撮り、ニュースの重なりを調べた。

重なりは約3割

「重なっていたニュース数/全てのニュース数」という極めて単純な計算で割り出したところによると、全体の26.6%のニュースが他社メディアにも取り上げられていた「重なりニュース」となった。

テレビのニュースと比較すると、体感的にはかなり低い数値となったが、それでも約3割のニュースが共通であったことを考慮すると、「皆が知っている」状況は、一定程度は作り出せる可能性がある、ということになる。

広告への適用

単純に考えれば、今回使用したアプリの画面に時期を決めて広告を出す(TVCMのスポットCMのイメージ)ということをすれば、現状のTVCMで目指している広告認知の設定を行い、それに向かってプランニングしていく(そして実行する)というのは、全くない話ではない、というレベル感ではあると想定する。

まとめ

趣味的に初めて見た本調査であるが、「デジタル(のニュースアプリ)では3割のニュースが共通である」という事実を知ることができたのは、今後の思索のベースになると思っている。