消費者が「欲しいもの」だけでなく「嫌なもの」も探す
「モノはすごくいいので、一度使ってもらえたら分かってもらえると思うんです」
会社規模に関わらず、商品広報・商品開発の方(スタートアップならご本人ですね)からお聞きするのが、この言葉。この言葉を発されない方はおられないと言っていい。
それは当然のことだと思う。毎日、大切な時間を使って、ベストな商品を作って、売って…と思うのは、起業家であろうと企業人であろうと変わらない。とても大切な想いだし、その想いを世の中に出すお手伝いをしたいと思う。
商品・サービス開発ではまず「欲しがられるもの」を探すが…
消費者、サービス開発において行われるのはこれである。
・消費者が「欲しいもの」を明確化して商品・サービスに取り込む
「欲しいものの明確化」というのは、消費者のインサイトが〜とか、最近のトレンドが〜とか、そういう話だ。
ただ、それだけでいいのか。
消費者が「嫌なもの」を探す
意外とこの視点がないなと思うのが、これである
・消費者が「嫌なもの」を明確化して、クリアした商品・サービスを開発する
「嫌なものの明確化」というのは、消費者は「総論賛成・各論反対」の状態であることが多いので、そのうちの「各論反対」の部分を明らかにする、ということだ。
「まあいっか…あれ?」
消費者はコアなニーズを満たしてくれる商品・サービスに対しては「まあいっか」という気持ちになり、商品であれば手にとるし、サービスであれば購入ボタンを押そうとする。
だがその前に、「いやまてよ、○○についてはどうなっているんだ?」と、その商品・サービスは本当に買うに値するものなのか、最終チェックを行う。
その時に、自分がどうしても許せないことがもしその商品・サービスに含まれていたとしたら、どれほどその商品・サービスが自分の欲しいものであっても、購入には至らない。
消費者がどうしても嫌なものは、開発時点で変更する必要がある
私が個人的に最もわかりやすいと思っているのが、シャンプーに入っている「ラウレス硫酸Na」という成分(界面活性剤)だ。
シャンプーにこだわる人というのは多いと思うが、その中でも特に自然派・ナチュラル系を好む方々では、どれだけそのシャンプーの主要成分がナチュラルで、仕上がりがよかったとしても、このラウレス硫酸Naが入っているということで選ばれないケースが多くある。つまり、この成分については、消費者はどうしても許せないのだ。
ネットサービスでこのラウレス硫酸Naとなりうるのは、個人情報の入力があげられる。
ただ無料のサービス(実際には広告が入っているために使えているということなのだが)を使いたいだけなのに、どうして郵便番号まで入れなくちゃいけないの?と、消費者は立ち止まり、そこでインストールをやめる。
そこまで顧客が嫌がっているもの・ことについては、開発時点で一掃しておく必要がある。
カスタマージャーニーで欠損している一行
カスタマージャーニーは「消費者が欲しいもの」に焦点を当てて作るものなので、「嫌なもの」については行を追加する必要があると思っている。
ちなみに、「嫌なもの」とは「許せないもの」レベルであって、「嫌だけどまあいっか」というレベルを指していないことを念のため記載しておく。